
執行猶予の定義と意義
執行猶予とは、有罪判決による刑の執行を一定期間猶予する制度です。この制度により、刑務所に入ることなく社会生活を続けることができ、猶予期間を無事に過ごせば刑の執行が免除されます。
執行猶予の目的は、比較的軽い犯罪を犯した者が更生し、再犯を防ぐために設けられています。これにより、刑務所に入ることで生じる社会復帰の困難さを回避し、社会内での自発的な更生を促します。
執行猶予の種類
執行猶予には以下の2種類があります:
1. 全部執行猶予
刑全体の執行が猶予されます。例えば、「懲役1年、執行猶予3年」と判決されると、3年間の猶予期間中に再犯をしなければ刑の執行が免除されます。
2. 一部執行猶予
刑の一部が猶予され、残りの刑は執行されます。例えば、「懲役2年、そのうち1年は執行猶予3年」と判決されると、1年間は服役し、残りの1年間は執行猶予となります。

執行猶予が付く条件
執行猶予が付くためには以下の条件を満たす必要があります:
- 3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金の判決
- 前科がない、または前科があっても刑の執行から5年以上経過している
- 情状により猶予が適当と判断される場合
裁判所は、犯罪の重さや被告人の反省態度、被害者との示談の有無などを総合的に考慮して執行猶予を決定します。
執行猶予判決の条件別割合

執行猶予中の生活
執行猶予中は、通常の社会生活を続けることができますが、以下の点に注意する必要があります:
- 再犯の回避:再犯を犯すと執行猶予が取り消される可能性があります。
- 保護観察の遵守:保護観察が付く場合は、定期的に保護観察官と面談し、生活指導を受けます。
執行猶予が取り消される場合
執行猶予が取り消される条件には以下のものがあります:
- 猶予期間中に再犯を犯し、禁錮以上の刑が言い渡された場合
- 執行猶予付き判決前に犯した他の罪で禁錮以上の刑が言い渡された場合
- 保護観察の遵守事項に違反した場合
これらの条件を満たすと、執行猶予が取り消され、直ちに刑の執行が行われます。
執行猶予のメリットとデメリット
メリット
- 刑務所に入らずに済む
- 社会復帰が容易
- 家族や仕事に影響が少ない
デメリット
- 執行猶予中は再犯のリスクが高い
ケーススタディと弁護実績
強制わいせつ致傷事件(裁判員裁判で無罪判決)
依頼者が虚偽の被害届を提出され逮捕・起訴された事件。多数の証人尋問を行い、被害者の証言を弾劾して無罪判決を勝ち取りました。
覚せい剤取締法違反事件(不起訴処分)
依頼者の尿検査で覚せい剤反応が出た事件。認識の正当性を主張し、不起訴処分を獲得しました。
過失運転致傷事件(控訴審での逆転判決)
大幅な速度超過による重大な傷害事件。控訴審で執行猶予判決を獲得しました。

まとめ
執行猶予は、更生の機会を提供する重要な制度です。弁護士坂口靖は、多くの刑事事件で執行猶予を獲得し、依頼者の更生をサポートしてきました。刑事事件でお困りの方は、ぜひご相談ください。

千葉弁護士会所属
刑事事件を専門とし、多数の無罪判決や画期的な成果を獲得してきた実績があります。
刑事弁護実績600件以上!
強制わいせつ致傷事件で無罪判決、窃盗事件で無罪判決2件、道路交通法違反事件で無罪判決、強制性交事件で認定落ち判決、殺人未遂事件で中止犯認定による執行猶予判決など、多くの困難な刑事事件で圧倒的な成果を達成しています。
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