
リベンジポルノとは何か?その罪状と刑罰について
リベンジポルノとは、元配偶者や元恋人とのポルノ画像・動画をリベンジ(復讐)目的で拡散する行為を指します。この行為は、被害者に対して非常に大きな精神的苦痛を与えるだけでなく、法律上も重大な犯罪とされています。日本では、平成26年に「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(通称リベンジポルノ法)が成立し、このような行為を厳しく取り締まっています。
リベンジポルノ防止法の概要
リベンジポルノ防止法は、私事性的画像や動画が無断で第三者に提供されることによって被害を受けることを防止するための法律です。この法律では、以下のような行為が禁じられています。
- 私事性的画像記録等の不特定多数向け提供・公然陳列
- 私事性的画像記録・記録媒体の提供
具体的には、元恋人や配偶者が撮影したわいせつな画像や動画を、第三者が容易にアクセスできる状態にする行為が該当します。
リベンジポルノの刑罰
以下の表に、リベンジポルノ防止法で定められた刑罰をまとめました。
違反行為 | 刑罰 |
---|---|
私事性的画像記録を不特定多数の者に提供 | 3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
私事性的画像記録を他人に提供し、それを拡散した場合 | 1年以下の懲役 または 30万円以下の罰金 |
例えば、交際中に撮影されたわいせつな写真を元に、別れた後にその写真を他人に見せたり、ネット上に公開する行為がこれに該当します。
リベンジポルノに関連する他の犯罪
リベンジポルノは、単独で犯罪とされるだけでなく、他の法律にも違反する可能性があります。以下は、その一例です。
犯罪名 | 法律 | 刑罰 |
---|---|---|
名誉毀損罪 | 刑法第230条 | 3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
児童ポルノ公然陳列罪 | 児童ポルノ法 | 3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金 |
わいせつ物頒布罪 | 刑法第175条 | 2年以下の懲役 または 250万円以下の罰金 |
脅迫罪・強要罪 | 刑法 | 2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金 (脅迫罪) 3年以下の懲役 (強要罪) |
リベンジポルノの被害者が取るべき対応
リベンジポルノの被害に遭った場合、速やかに対応することが求められます。以下に、考慮すべき具体的な対策を示します。
1. 泣き寝入りをしない
リベンジポルノは非常にデリケートな問題であり、被害者は「荒波を立てたくない」と感じるかもしれません。しかし、何ら対策を講じなければ、被害はどんどん拡大してしまう可能性があります。泣き寝入りせず、法的に認められた権利を行使することが重要です。
2. 写真や動画の削除依頼
リベンジポルノになり得る画像や動画を所有している相手方に対し、削除を依頼することが重要です。できれば、メールや書面で証拠が残る形で行いましょう。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。
3. 弁護士に相談する
相手が画像や動画を削除しない場合、あるいは画像や動画を脅しの手段として利用しようとしている場合は、弁護士に相談することが賢明です。弁護士は、相手に対して法的措置を取るだけでなく、被害者の権利を守るための支援を提供します。
4. 警察への相談
実際にリベンジポルノの被害に遭った場合は、警察に相談することが重要です。リベンジポルノは犯罪行為であり、警察が捜査を行い、加害者を逮捕する可能性があります。特に、被害が深刻である場合は、警察の介入が必要です。
5. セーファーインターネット協会への相談
リベンジポルノ被害がネット上に拡散されてしまった場合、セーファーインターネット協会に相談することで、拡散された画像や動画の削除を依頼することができます。セーファーインターネット協会は無料で支援を提供しており、被害者にとって非常に心強い存在です。
リベンジポルノによる罪に問われた場合のリスク
リベンジポルノを行い、罪に問われた場合、加害者は重大な法的リスクを負うことになります。具体的には以下のような影響があります。
リスク | 詳細 |
---|---|
逮捕される可能性 | リベンジポルノは犯罪行為であり、逮捕される可能性があります。逮捕されると、身柄が拘束されます。 |
前科がつく可能性 | リベンジポルノを犯した場合、最終的には前科がつく可能性があります。前科は今後の就職や社会生活に影響を与えます。 |
損害賠償請求をされる可能性 | リベンジポルノによる精神的被害が大きく、損害賠償額も高額になる可能性があります。50万円から200万円程度の判決が多いです。 |
学校や会社をクビになる可能性 | 逮捕されると、学校や会社を解雇される可能性があります。逮捕により社会的な信用を失うリスクがあります。 |
リベンジポルノを防止するための注意点
リベンジポルノを防止するためには、以下のような注意点を守ることが重要です。
1. わいせつな画像や動画を撮らせない
最も基本的な防止策は、わいせつな画像や動画を撮らせないことです。プライバシーを守るために、相手に対して明確な意思表示を行うことが重要です。
2. 自分のプライバシーを守る
自分のプライバシーを守るためには、常に慎重な行動が求められます。例えば、SNSで個人的な情報を公開しない、信頼できる人以外には画像や動画を送らないなどの対策が考えられます。
3. トラブルが発生した場合は早急に対応する
リベンジポルノに関連するトラブルが発生した場合、速やかに対応することが求められます。弁護士や警察に相談し、必要な措置を講じることで、被害の拡大を防ぐことができます。
リベンジポルノに関する法律改正と最新情報
リベンジポルノに関する法律は、時代の変化に合わせて改正が行われることがあります。特に、インターネットの発展に伴い、リベンジポルノに対する規制が強化される傾向にあります。最新の法改正や裁判例に基づいて、リベンジポルノに対する理解を深めることが重要です。
リベンジポルノに問われた場合の弁護の流れ
リベンジポルノで罪に問われた場合、どのような弁護が行われるのか、その流れを解説します。
1. 逮捕と取り調べ
リベンジポルノで逮捕された場合、まずは警察での取り調べが行われます。この段階で、弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
2. 検察への送致と勾留
警察での取り調べが終わると、事件と身柄が検察に送致されます。ここで、勾留されるかどうかの判断が行われます。勾留が決定された場合、最大で23日間の身体拘束が行われる可能性があります。
3. 起訴・不起訴の判断
勾留期間中に、検察が事件を起訴するか不起訴にするかを判断します。示談が成立している場合、不起訴となる可能性があります。
4. 裁判と判決
起訴された場合、裁判が行われ、有罪判決が下されると刑罰が科せられます。逆に、不起訴となれば事件はそこで終了します。
リベンジポルノで逮捕された場合の対応
リベンジポルノで逮捕された場合、早急に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。以下に、逮捕後の対応について解説します。
1. 初回接見の重要性
逮捕された場合、弁護士による初回接見が非常に重要です。弁護士が警察署まで出向き、取り調べのアドバイスや今後の対応について助言します。
2. 勾留回避のための活動
逮捕後、勾留されることを回避するために、弁護士が検察官や裁判官に対して意見を述べることが重要です。勾留が決定された場合でも、準抗告を申し立て、再度の判断を求めることができます。
3. 示談の成立
リベンジポルノ事件では、示談が成立することが重要です。被害者との示談が成立すれば、起訴されずに事件が終了する可能性があります。
まとめ
リベンジポルノは、被害者に対して甚大な精神的被害を与える犯罪行為であり、日本ではリベンジポルノ防止法によって厳しく取り締まられています。被害者は、速やかに対応し、法的な権利を行使することで、被害の拡大を防ぐことができます。また、リベンジポルノで罪に問われた場合、弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

千葉県弁護士会所属
刑事事件を専門とし、多数の無罪判決や画期的な成果を獲得してきた実績があります。
刑事弁護実績600件以上!
強制わいせつ致傷事件で無罪判決、窃盗事件で無罪判決2件、道路交通法違反事件で無罪判決、強制性交事件で認定落ち判決、殺人未遂事件で中止犯認定による執行猶予判決など、多くの困難な刑事事件で圧倒的な成果を達成しています。
坂口靖弁護士の実績
- 性犯罪に関する実績:
- 強制わいせつ致傷事件: 裁判員裁判で無罪判決。
- 強制性交事件: 第2審で逆転無罪判決。
- 強制わいせつ致傷事件: 示談により不起訴処分。
- 強姦事件: 執行猶予付き判決を獲得。
- 痴漢事件: 早期釈放と不起訴処分。
- 児童ポルノ事件: 不起訴処分。
- 薬物事件に関する実績:
- 大麻取締法違反事件: 執行猶予付き判決。
- 覚せい剤取締法違反事件: 不起訴処分。
- 交通事故に関する実績:
- 道路交通法違反事件: 無罪判決を獲得。
- 過失運転致傷事件: 控訴審で逆転判決。
- 危険運転致傷事件: 執行猶予付き判決。
- 飲酒運転事件: 罰金刑を獲得。
- 窃盗・偽造に関する実績:
- 窃盗事件: 無罪判決。
- 窃盗事件: 一部無罪判決。
- 窃盗(万引き)事件: 罰金刑。
- クレプトマニア事件: 再度執行猶予判決。
- クレプトマニア事件: 不起訴処分。
- 窃盗事件: 共犯者より有利な執行猶予判決。
- 詐欺事件: 執行猶予判決。
- 詐欺事件: 逆転判決。
- 詐欺事件: 不起訴処分。
- 傷害・侵害に関する実績:
- 殺人未遂事件: 中止犯成立により執行猶予判決。
- 過失運転致傷事件: 控訴審で逆転判決。
- 危険運転致傷事件: 執行猶予付き判決。
- 殺人事件: 不起訴処分。
- 殺人事件: 嘱託殺人として執行猶予付き判決。
これらは坂口靖弁護士の実績です。詳しくは実績ページをご覧ください。
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